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〜「第二回 多様性を尊重したまちづくり」〜

〜「第二回 多様性を尊重したまちづくり」〜
先日、(公財)鹿児島市国際交流財団と響の共催で「多様性を尊重したまちづくり〜病院における外国人受診者のリアルな声」というテーマのもと、医療関係者の方々向けにワークショップを行いました。
今回はスペイン、バングラデシュ、マレーシア、トルコ、フィリピン出身の5名の外国人講師の方々、そして日本人の参加者17名の計22名での開催となりました。
イベントのはじめに各グループで「やさしい日本語」を使った自己紹介を行いました。やさしい日本語とは「日本語を母語としない外国人にもわかりやすい簡単な日本語」のことで、これを意識しながら話すことは日本人参加者の方々にとっても良い機会になったのではないでしょうか。
その後、鹿児島に住む外国人の現状やイスラム教に対する偏見や差別、また多様性とは何かについて司会の2人が各々の経験談を踏まえて話しました。それらについて参加者の方々に理解を深めていただいた後、異国での病院受診を想定したワークショップを行いました。各グループの外国人講師に各国の医師を演じてもらい、日本人参加者に日本語が通じない、現地の言葉がわからない状態での医療機関受診がどのようなものであるかを体験していただきました。今回は医療関係の方が中心に参加されていたので、医療専門の翻訳機を使われている方もいらっしゃいました。その他にも英語を話す方やジェスチャーで伝えようとされる方、紙に絵を書いた方など人それぞれ伝え方が異なっており、改めてコミュニケーションのツールは多様であると私自身実感しました。
その後、外国人講師の方々に日本での医療機関を受診する際に苦労されたことを話していただきました。
・バングラデシュ出身の方
「特に休日や夜間での受診が非常に大変。幼い子供が急に体調を崩してもどこの病院に行けばいいのかわからないし、病院に連絡をしても相手の言っていることが理解できない。日本人の友人に頼りたくても遠慮してしまう。
また以前子供を妻が出産したが、目を通す必要がある書類や同意書などが50枚ほどあり、寝る間も惜しんで読み終わるのに2週間かかった。ありがたいことに私の日本人の友人が翻訳を手伝ってくれたが、必ずしも鹿児島にいるバングラデシュ人の仲間全員が日本人に頼れるわけではない。だからこそ、もっと外国人をサポートしてくれる日本人が増えてくれたら嬉しい。」
・トルコ出身の方
「先日歯の病気を患い病院に行った際、ある程度の日本語が理解できていても、医療専門用語だと全く意味がわからなかった。先生に絵を描いてもらってようやく説明を理解することができた。」
・マレーシア出身の方
「日本に来て何度も病院を利用したが、その際に一番困ることは問診票を書くことだ。日本にいる外国人は話すことや聞くことはできても、難しい日本語や漢字を書ける人は少ない。そのため、外国人対応の問診票があると非常に助かる。 
また自分が救急車で運ばれた際、パニックになっており普段だと問題のない日本語での会話ができなくなったことがある。その時に先生がジェスチャーを使って説明してくれたから非常に助かった。日本にいる外国人が全員英語を話せるわけではないので、ジェスチャーを使ったコミュニケーションは必要。」
・スペイン出身の方
「日本の病院で問診票を書いた際、住所などをローマ字で書いて提出したら日本語での書き直しを求められた。私たち外国人にとって難しい漢字を書くことは非常に時間がかかり、緊急事態の際には尚更だ。だから、ローマ字や英語で問診票に記入できるようになると私たちはとても助かる。」
・フィリピン出身の方
「日本の産婦人科は男性の医師が多く、受診しづらい。フィリピンでは女医が多い。/ 日本人の医師は英語を話せる人が多いからとても助かる。」
これらは講師の方々のエピソードの中から抜粋したものです。やはり皆さん口をそろえておっしゃっていたことは「日本語がわからないと本当に病院での受診が難しい」ということです。この問題の根本にあるのは、鹿児島の医療機関での英語人材不足や、多言語対応の問診票がないこと、問診票でのローマ字記入が許可されていないなどのケースが多いということだと感じます。たしかに日本に住む外国人全員が日本語を理解できることが何よりも望ましいと思う方もいらっしゃるかもしれません。 
しかし、グローバル化が進み世界中の人々が物理的文化的に強い繋がりを持つ現代だからこそ、異なる文化や言語、価値観を国籍や世代を超えてお互いに尊重し合い、助け合うことこそが私たち自身の生活をもさらに豊かにしてくれるものだと私は信じています。
また、これは外国人に対してだけではなく、日本人同士でも同じことです。お互いを助け合う気持ちを持ち合うことが、本当の意味で多様性を尊重したまちづくりの一歩になるのではないでしょうか。
今回のイベントが参加者の皆様にとって有意義な時間となりましたら大変光栄です。お忙しい中、足を運んでいただきありがとうございました。
また、私たち響と共にワークショップを主催してくださった(公財)鹿児島市国際交流財団のスタッフの方々、朝早くから準備を手伝ってくれた響のボランティアメンバー、そして今回のワークで活用した文書の作成に協力してくれた鹿児島で出会った外国人の友人たちに心から感謝しています。
来月26日(土)は「外国人保護者の本音を聴いてみよう」といテーマで今回と同様の形式でワークショップを行います。
興味のある方、教育関係者、行政関係者の方々でお時間がありましたら、ぜひご参加・シェアをよろしくお願いします!
12月 「外国人保護者の本音を聴いてみよう」
https://bit.ly/2GY7Pp7
1月 「行政サービスについて外国人が望むもの」
https://bit.ly/3jZSzGL
報告者 山元里紗