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〜「第3回 多様性を尊重したまちづくり」〜

〜「第3回 多様性を尊重したまちづくり」〜

12月26日(土)に、(公財)鹿児島市国際交流財団と響の共催で「多様性を尊重したまちづくり〜外国人保護者の本音を聴いてみよう」というテーマのもと、教育関係者の方々向けにワークショップを行いました。
今回は、ポーランド、バングラデシュ、韓国、インドネシア、スペイン、マレーシア出身の6名の外国人講師の方々、そして日本人参加者22名の計28名での開催となりました。
まず初めに各グループで「やさしい日本語」を使った自己紹介をしました。「やさしい日本語」とは、日本語を母語としない方々にも分かりやすい簡単な日本語のことです。普段意識せず日本語を話している参加者にとっては、良い機会になったのではないかと思います。
その後は、鹿児島に住む外国人の現状やイスラム教に対する偏見や差別について、司会者2人がそれぞれの経験をもとに話しました。「あなたとわたし」というグループワークを通して、「同じ日本人でも価値観や好みが違う。出身国が違っても、共通点がある」ということを学びました。「相手と違うことは当たり前として認める」ことが異文化理解や多様性を尊重した社会への第一歩だと感じました。
1つ目のアクティビティでは、外国人講師の方が学校の先生となり、参加者の方々は子どもに関する悩みを相談する親を体験していただきました。外国人講師の方々の出身国に滞在しているという設定なので、もちろん日本語は通じません。参加者の方々は、翻訳アプリ・イラスト・英語を用いて悩みを相談しました。多くの方が英語での相談に挑戦していましたが、その先生が必ずしも英語が堪能とは限らないため苦戦されている方もいらっしゃいました。このアクティビティを通して、悩みが何なのかは伝えられたが、細かい部分までは伝えられないことや、伝えたいことを事前に準備するなど時間がかかってしまうことなどを経験しました。
2つ目のアクティビティでは、外国語で書かれた修学旅行説明会文書の解読を行いました。はじめにタガログ語、アラビア語、シンハラ語で書かれた文書が配布され、各グループで協力しながらどんなことが書いてあるか話し合いました。使用されている文字も異なるため、正直数字しか解読できませんでした。次に中国語で書かれた同じ内容の文書が配られ、日本人の方々は「だいたい分かった」と少し安心したような表情を浮かべていました。在留外国人の方々にとって困難なことの1つに、行政や学校からの文書の理解があることを身をもって体験しました。
その後、日本人にとっても、在留外国人の方々にとっても分かりやすい文書の作成に挑戦しました。
・本当に必要な情報だけを選ぶ
・ふりがなをふる
・やさしい日本語や英語を使う
・イラストを描く など
様々な工夫が見られ、みんなにとって分かりやすい文書ができました。
また、6名の外国人講師の方々が鹿児島で子育てをするにあたって、困難なことやどのようなサポートを求めているのかお話してくださりました。
以下はお話を抜粋させていただいたものです。
・ポーランド出身の方
初めて「ハーフ」という言葉を聞いたときは理解できなかった。
この言葉は、外国人にとって不愉快で人種差別的であり、私の子どもは「不完全」なように思えてしまう。
偏った価値観の社会の中でどのように子育てすればいいのか、子どもたちにどう説明していいのか分からない。
人間はみんな同じで、大事なのは心だと思う。
・バングラデシュ出身の方
学校から帰ってきた娘さんに「どうして私は肌の色がみんなと違うの?どうして髪がクルクルなの?」「パパ、髪の毛をストレートにしたい」と言われたことがある。
今までそんなこと聞かれたことなかったので、学校で何か言われたのではないかと思う。自己肯定感が低いまま育ってほしくない。
・韓国出身の方
韓国の考え方で長女は高校生に、次女は小学4年生になる年に日本へ来た。
次女は3月生まれのため、日本では5年生になると言われ、1学年分飛ばして学校に通うことになった。
韓国では夫婦別姓であり、ずっと自分の名字を使ってきた。
PTAに行った際に子どもの名字(旦那さんの名字)で呼ばれたので、自分の名字で呼んでほしいとお願いしたが、「子どもの名字でその親御さんのことも呼ぶのが原則なので」と断られた。
もう少し文化のことを理解してほしい。
大変なこともあるが、放課後に日本語支援をしてくださるなど、温かく迎え入れてくださったことには感謝しており、とても嬉しく思う。
・インドネシア出身の方
保育園に通うお子さんがいらっしゃり、保育園に通う上で苦労することもある。
(1)言葉の壁。自分も先生も、子どもの様子や要望を伝えるのが難しい。先生が絵を描いて説明してくださったり、平仮名で書いてくれたりして理解できるようになってきた。
(2)給食。宗教上の理由で食べられない食材があるため、別のものに変えてもらったり、取り除いてもらったりしてもらっている。先生方の協力で、毎日お弁当を作る必要がなくなった。
先生方の対応に感謝している。
・スペイン出身の方
幼稚園に入園するときが大変だった。提出する書類がたくさんあること、子どもに対しても面接があることに驚いた。
奥さんが日本人なので、任せることはできるが申し訳なく感じる。
「ハーフ」という言葉には、ポーランド出身の方と同様に考える。
知らない人にいきなり声を掛けられ、子どもの名前を聞かれたり、どこに行ってもジロジロみられる。
子どもには「自分は違う」と思ってほしくない。
・マレーシア出身の方
鹿児島にはマレーシア出身の方が少ないため、同じ出身者での交流があまりなく心細く感じることがある。
友人は子どもが3人おり、ご主人は出張が多かったため、彼女が基本的に家事や子育てをしていた。
子どもたちがいじめられたことがある、ママ友の付き合いが難しかったことなど辛いことが続き、現在はお子さんと帰国された。
近くに在留外国人の方がいたら、声かけやサポートを是非してほしい。
異文化理解の講座するために学校を訪れることがあり、国際交流の機会がある学校の児童とそうでない児童との関わり方の差を感じる。
交流の機会がない児童には「怖い」「なんで布をかぶってるの?」など言われることがある。
視野を広げるためにも、在留外国人との交流の機会を増やすべきだと思う。
困難体験を話すことはとても勇気がいる行動です。皆さん事前に準備してきてくださり、中には手を震わせながらお話してくださった方もいらっしゃいました。
とても貴重な体験を伺うことができました。
今回のワークショップが参加してくださった方々にとって、有意義な時間となりましたら大変光栄です。
年末のお忙しい中、足を運んでいただきありがとうございました。
また、私たち響と共にこのイベントを主催してくださった(公財)鹿児島市国際交流財団の皆様、響のスタッフメンバー、そして今回のワークで使用した文書の作成をしてくださった鹿児島で出会った外国人の友人たちに心から感謝しております。
来月16日(土)は「行政サービスについて外国人が望むもの」というテーマでワークショップを開催します。
興味のある方、行政関係者の方々でお時間がありましたら、ぜひご参加・シェアをよろしくお願いします!
1月16日(土)  「行政サービスについて外国人が望むもの」
https://www.kokuchpro.com/.../4978f3eb98db6cad11200074ca.../
上記のリンクから、詳細のご確認とお申込みができます。
報告者 井上