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多様性を尊重したまちづくり【ワークショップ】

多様性を尊重したまちづくり【ワークショップ】
〜「多様性を尊重したまちづくり」〜
(公財)鹿児島市国際交流財団と響の共催で、「多様性を尊重したまちづくり」というテーマでのワークショップがありました!
今回はアルゼンチン、バングラデシュ、マレーシア、タンザニア、スペインの計5か国の講師の方々、そして15人の日本人参加者の方々でワークショップが行われました。
最初は日本人4人+外国人講師1人のグループで、外国人の方々も理解しやすい言葉を意識した上での自己紹介をしていただきました。外国の人々と話をしたことがない方も数名いらっしゃいましたが、言語の違いがあってもコミュニケーションができることを感じていただきました。
次に、鹿児島に住んでいる在留外国人の数や、非英語圏のアジアの国々からどのくらいの人たちが鹿児島に来ているのかを、クイズを通して確認したり、桜の花びらのシートを使って、同じ日本人同士でも違いがあり同じではないこと、一方で国籍の違う人とでも共通する部分があることを知る=国籍は関係がないことを感じてもらうワークを行ないました。
その後はイスラーム教のムスリムの多くの方々が肌や髪の毛を隠すためにまいている「ヒジャブ」の話を基に、「偏見」についてや、「正しい知識」を持つことの大切さについて考えていただきました。
響の様々な活動を、運営に携わっているボランティアメンバーから紹介してもらった後は、それぞれのグループで、トルコ語、シンハラ語(スリランカの言葉)、ベンガル語(バングラデシュ)、タガログ語(フィリピン)で書かれた文書を解読するワークを行いました。どの言語も解読が困難でしたが、後に同じ内容で日本語ではない1つの言語の文書を配布すると、どのグループもだいたいの文書の内容をあてることができました。しかし、外国人講師の方々はまだ理解が困難であることから、鹿児島に住む在留外国人の方々が毎日直面している困難の1つを日本人の方々に知っていただきました。
休憩をはさんだ後、前のワークで使用した文書を基に、在留外国人の方々も含めたみんなが理解しやすい文書に書き換えるワークを行ないました。外国人講師の方の意見を基に5つのグループが書き換えた文書は、それぞれがいろんな工夫がなされ、在留外国人の方々にとってわかりやすいものになっていました。作り替えたものを全体でも共有して、外国人の方々のために必要な配慮は何かをみんなで考えました。
ワークショップの最後は、5人の外国人講師の方々に、これまで経験した困難体験をお話していただきました。
〇仕事での困難について(アルゼンチンの方)
「就職した際の研修で、多くの資料を日本語でもらって理解するのがかなり厳しかったです。」
〇子育て・仕事・出産時の困難について(バングラデシュの方と出産をサポートした響メンバー)
「妻の出産の際や緊急時などに病院に電話した時に、何を言っていいのか、何を言ったらいいのかがわかない時が大変困りました。しかし、サポートしてくださった方のおかげで乗り越えることができました。」
〇言語やコミュニケーションの困難について、(タンザニアの方)
「息子が入院した際に、妻は日本語が話せないため、すべて僕が対応しなければならず、理解ができなくても挑戦しないといけないのが大変でした。しかし、鹿児島の人々はとても親切で、病院の職員の方々が英語でコミュニケーションしてくださいます。」
〇宗教や食べ物に関する困難について(マレーシアの方)
「じろじろ見られるのが嫌だったけど、今はじろじろ見られたら笑顔で返すようにしています。」
〇行政関係の手続きに関する困難について(スペインの方)
「僕は日本人の女性と結婚したから、まだいいほうだと思います。他の外国人の方たちはもっと大変だと思います。」
「読むより書くことが一番難しくて、特に漢字が。書類をローマ字、ひらがなで書いたら、漢字で書いてくださいと言われて大変でした。」
外国人の方々のこういったリアルな声を聴く機会はなかなかないため、私自身も話を聞きながら彼らの大変さを改めて知り、まず「知ること」が何よりも大切であることを実感しました。この投稿の一番下に、去年の外国人講師の方々が話してくださった困難や日本に来て感じることを参考までに掲載しますので、ぜひ見ていただきたいです。
今回のワークショップに参加してくださった方々の受講後の感想をそのまま掲載します。
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(参加された感想・心に残ったこと)
・外国人の方一人一人の困った経験談は普段聞く機会がないので、聞いていてとても興味深かった。
・なかなか住んでいる中での困りごとを聞く機会がなかったので、今回良い経験でした。時間がもう少しあればもっと聞けたかなと思うので、繋がってまた改めて聞きたいという気持ちになりました。「みんなにわかるように」のワークショップ、良かったです!
・グループでのみんなにわかりやすい文章づくり(が印象に残った。)
・私たちは英語が分からなくても調べればわかるけど、外国人の方々にとっては、漢字を読むのが難しく、調べることすらできないというのが、新たな視点で気づきとなった。
・構成がとてもよく、誰にでも理解しやすいと思った。(少しかけあしがもったいない)今までも、同じテーマで講話を聞いたが、小学校の先生ということもあり、分かりやすかった。声をかけていいのか悩むときもあるので、外国人のリアルな声は参考になった。
・私達が普段、当たり前のように生活している中で、手紙や買い物、病院、薬などは外国人の人にとっては全くわからず、苦痛だと思った。
・外国人の方々の日常的な困難について、表面的なことしか知らなかったが、より具体的に把握することができた。自分の中でとどめるのではなくて、まわりの人にも伝えていこうと思った。
・「鹿児島には親切な人が多いけど、困っている人がいることを知らない人が多い。だから周りの人に教えてほしい」というところ(が印象に残った。)
・知識として、外国人が日本に住んでいて困ることを知っていても実感がわかないので、直接外国人の方の声から聞くことができたのは、とても良かったと感じています。
・外国の講師の方の困難体験談は、日本にずっと暮らしている私たちにとっては考えたこともないようなことばかりで、印象に残った。
・外国の方が実際に困っていることを知って、具体的にどうすれば良いかイメージできた。
・最初緊張していたけど、だんだんグループの人と会話することができて、また、日本に暮らしている外国人が普段どのようなことを感じているのか、問題点はどんなことか、ということを知れて良かった。日本人にとっては簡単なことでも、海外の人々にとっては難しいことが多い。
・鹿児島に住んでいる外国人の方のお話を聞けて、何に困っているのかがわかりました。
・グループの人や講師の先生などと協力して解読したり、実際に困ったことなどを聞けて本当に良かった。生活していて全然気にしていなかったので、意識していきたい。楽しかったです。
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ワークショップの最後にバングラデシュの講師の方が、このような言葉をおっしゃられていました。
「鹿児島の人々は本当に親切です。みんな助けてくれます。しかし、みんな外国人の人たちの問題とか困ったことを知らないと思います。今日参加してくださった方々に本当に感謝しています。今日知ったことを自分の中だけじゃなくて、家族とか友達に教えてください。漢字が書けない人たちもいる、豚肉が食べられない人たちがいる、外国人の人たちも頑張っていることなどを、周りの人たちに伝えていただけたら、鹿児島がもっと外国人にフレンドリーな社会になると思います。ありがとうございました。」
ワークショップを通して、規模の大小にかからわず、参加者の方々が身近にいる在留外国人の人たちのためにできることを考え行動に移していただき、それが外国人の方々も含めたすべての人たちにとって住みやすい鹿児島に繋がるきっかけになったら大変嬉しく思います。
今回のワークショップで司会を担当させていただきましたが、一緒に司会を担当した響のメンバーや、温かい雰囲気を作ってくださった参加者の方々のおかげで、リラックスしながら私自身も楽しんでワークショップを進めることができました。まず参加してくださる方々がいなければ、また参加者の方々が積極的に活動に取り組んでくださらなければ今回のワークショップは成り立ちませんでした。悪天候にもかかわらず参加してくださった方々に心から感謝しております。
そして、一緒にワークショップを主催してくださった(公財)鹿児島市国際交流財団のスタッフの方々、朝早くから準備を手伝ってくれた響のボランティアメンバー、また今回のワークで活用した文書の作成に協力してくれた鹿児島で出会った外国人の友人たちに心から感謝しています。
このように1つのワークショップに、多くの人々が関わり協力して作り上げることができたことを通して、協力することの大切さを改めて実感したとともに、感謝の気持ちや人との繋がりをこれからも大切にしていきたいと心から思いました。貴重な経験をさせてくださり、本当にありがとうございました。
今回の1回目に引き続き、来月から分野ごとに開催する予定です。
興味のある方、医療関係者、教育関係者、行政関係者の方々でお時間がありましたら、ぜひご参加・シェアをよろしくお願いします!
11月 「病院における外国人受診者のリアルな声」
https://bit.ly/3dsIyzn
12月 「外国人保護者の本音を聴いてみよう」
https://bit.ly/2GY7Pp7
1月 「行政サービスについて外国人が望むもの」
https://bit.ly/3jZSzGL
報告者 井手昭博
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〜在留外国人の方々の困難や日本に来て感じること〜(2019年度)
〇市役所や学校からの書類に何が書いてあるかわからないから、そのまま放置することがある。
〇わからないことを、毎回学校の先生に聞くのも恥ずかしい。
〇スーパーの食品がハラル対応のものかどうか、漢字で書いてあるからわからない。
〇いきなり請求書が行政から届くけど、漢字で書いてあるから何の書類がわからない。
〇日本は全体的にゴミ箱がなく、またゴミの分別や処分方法で困る。
〇日本人は他人のことを気にしすぎている気がする。
〇外国では、バスで子どもが泣いていたらみんなで慰めようとする雰囲気があるけど、日本では、子どもの母親が周りの人たちに申し訳なさそうにしているのを見て、どうしてかがわからなかった。
〇外で歩いている時によくチラチラみられることがあって、挨拶をしてみたいけど、逃げてしまうのではないかと不安に思うことがある。できれば日本人から声をかけてほしい。
〇在留外国人に対する宗教の勧誘がしつこい。
〇スーパーで、肉と豚肉の違いが見た目ではわからなくて、友人が間違えて豚肉を食べてしまったことがある。
〇急に体調が悪くなって病院に行った時に、日本語で症状をうまく伝えることができない。